[伶楽舎] 芝祐靖の音楽 古典雅楽様式による雅楽組曲「呼韓邪單于」 — 王昭君悲話 —

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芝祐靖の音楽 古典雅楽様式による雅楽組曲「呼韓邪單于」 王昭君悲話

The Music of Sukeyasu Shiba
Kokan'ya Zen'u(Huhanye Chanyu)(1999)
The Tragedy of Ō Shōkun(Wang Zhaojun)
Gagaku suite in traditional style

しば・すけやす・の・おんがく こてんががくようしき・に・よる・ががくくみきょく「こかんやぜんう」 おうしょうくんひわ

伶楽舎

Reigakusha

れいがくしゃ

VZCG-748(CD) 2,857円+税

発売日: 2011年7月20日 / ジャンル: 雅楽


▼曲目一覧

作品紹介

一千年の雅楽の伝統を継承し、未来への新しい扉を開く芝祐靖の遙かなる音楽世界。待望のCDシリーズがスタート。伶楽舎(音楽監督:芝祐靖)による新録音。

豊かな詩情、色彩感、エネルギーの表現を縦横にちりばめ、古典様式の雅楽譜で作曲された新作雅楽の名作。

 漢の元帝より美女、王昭君を賜った匈奴の王、呼韓邪單于。憂愁の心を堪えて異郷の民に尽くす王昭君。――以前より王昭君の伝説を楽曲にしたいと思っていましたが、現行雅楽曲に「王昭君」が存在するので、王昭君の夫となった「呼韓邪單于」を曲名とし、古典形式の組曲(歌曲付)として作曲いたしました。
 古典雅楽様式の新曲は、結果として新鮮な響きに乏しいものとなりますが、古典雅楽が失ってしまった詩情、色彩感、エネルギーなどの表現がどの程度取り戻せるか、という実験の場となったように思います。

(芝祐靖)

◆附属解説書30ページ
時空を超えたもの/池辺晋一郎
古典雅楽様式による雅楽組曲『呼韓邪單于』、作曲ノート/芝祐靖
英文サマリー付き(English Summary Enclosed)

 古典雅楽様式による雅楽組曲「呼韓邪單于(こかんやぜんう)――王昭君悲話」は、1999年に伶楽舎の委嘱で作曲され、同年12月10日伶楽舎第四回雅楽公演(津田ホール)で初演されました。芝祐靖の大編成の雅楽作品のなかでも、管絃のための即興組曲「招杜羅紫苑(しょうとらしおん)」(1980)と並ぶ代表作で、中国の紀元前の漢の時代に匈奴の王・呼韓邪單于に嫁ぎ運命に翻弄された絶世の美女・王昭君(おうしょうくん)の有名な悲話を音楽化したものです。

 本作の第一の特徴は、雅楽のなかに独唱声楽を導入した点で、山田流箏曲の下野戸亜弓さんが作品中の三箇所で王昭君の内面を歌います。また王昭君が仕えていた漢の元帝と、王昭君の夫となった匈奴の王・呼韓邪單于、そして王昭君との三人の間の心のやりとりが、龍笛(王昭君)と篳篥(元帝、呼韓邪單于)の演奏によっても表現されています。

 第二の特徴は、五線譜ではなく伝統的な仮名を使った雅楽譜で作曲されているという点です(解説書内に、自筆譜を一部掲載)。現代雅楽のほとんどは、クラシック系のいわゆる現代音楽の作曲家によって五線譜で作曲されているため、西洋音楽的な発想を反映していますが、本作では伝統的な雅楽の楽器特有の性質に則って作曲されています。一言でいえば、本作は「現代音楽」でも「現代雅楽」でもない、新しい雅楽であるといえます。

  考えてみよう。「呼韓邪單于」はまぎれもない雅楽、まさに雅楽そのものだということを。様式においても、演奏技法においても、である。そこには「雅楽のイディオム(語りくち)」がふんだんにある。しかし書かれたのは現代だ。「いにしえ」にはなかった交響詩的な音楽である。ストーリーを持つ壮大なバラッドである。
 換言すれば、これこそが、まさに「伝統」なのだ。伝統とは、死に絶えたものを指すのではなく、歴史を背負い、かつ生き続けているものを指すのではないか。
(中略)
 こうして我々は、現代へ流れ込んだ「歴史」を、まるごと体験することができる。1000年を、まるごと聴くことができる。これを「復元」と「創造」と呼んでしまうのは軽率にすぎるだろう。
(後略)

(池辺晋一郎「時空を超えたもの」(ライナーノート)より)

芝祐靖(しば すけやす) プロフィール
 1935年8月13日東京生まれ。奈良系の伶人の家に生まれたため、宮内庁楽部予科、引き続き楽生科に入学。横笛、左舞、琵琶、古代歌謡などを修め、1955年卒業。宮内庁楽師(総理府技官)として主に龍笛で活動。古典雅楽の演奏のほか、現代雅楽、現代邦楽の作曲・演奏を行い、雅楽廃絶曲の復興も手がける。1984年宮内庁を退官し、横笛演奏を中心とした活動を始める。1985年伶楽舎を結成。また、国立劇場の正倉院収蔵楽器復元に参加し、敦煌琵琶譜などの復興にも携わる。1986年よりソロ、伶楽舎ほかのアンサンブルで海外公演も行っており、古典・現代雅楽の紹介活動につとめている。2003年より日本藝術院会員。
 これまでに、ドートンヌ・パリ音楽祭、クフモ音楽祭(フィンランド)、ペルージア現代音楽祭、ドナウエッシンゲン現代音楽祭、ウィーン・モデルン、リンカーンセンターフェスティバル96(ニューヨーク)、武満徹フェスティバル(ロンドン)、ウルティマ音楽祭(ノルウェー)、ミュージックフロムジャパン創立30周年記念公演(ニューヨーク)、ザルツブルク・ビエンナーレなどに参加。1998年の長野冬季オリンピックの開会式では雅楽(龍笛:芝祐靖、笙:宮田まゆみ)で「君が代」を演奏、世界中に雅楽の響きの魅力を伝えた。2010年ミュージックフロムジャパン35周年記念公演では特集「芝祐靖・雅楽の宇宙」が組まれ、ニューヨークとワシントンで公演、絶賛を博した。

[主な作曲]
「舞楽風組曲」(1962)、「西寺」(1962)、「瑞霞苑」(1964)、大太鼓と龍笛のための「喜遊曲・信濃情景」(1965)、「寓話」(1966)、「横笛三章」(1970)、古代歌謡による「天地相聞」(1975)、「招韻」(1977)、「一行の賦」(1979)、「招杜羅紫苑」(1980)、「白瑠璃の碗」(1981)、「桜人」(1984)、「露台乱舞」(1988)、「斑鳩の風」(1991)、「総角の歌」(1992)、「呼韓邪單于」(1999)、「巾雫輪説」(2000)、「草庵の諧」(2003)、「ポン太と神鳴りさま」(2004)、「舞風神」(2008)、その他多数。

[主な復元曲]
「盤渉参軍」(1979)、「曹娘褌脱」(1981)、「鳥歌萬歳楽」(1982)、「青海波詠・声歌」(1995)、「拾翠楽序・破」(1996)、「清上楽」(1997)、「西王楽序・急」(1998)、「三台塩序・破」(1998)、「安城楽」(2004)、「蘭陵王荒序」(2006)、「蘭陵王嗔序」(2008)、「散吟打毬楽」(2009)、「皇帝破陣楽」(2008)、「伎楽」(1980―1992)、「敦煌琵琶譜(1986―1996)、「天平琵琶譜(1986)、その他多数。

1963年度 芝祐靖作曲「舞楽風組曲」(日本放送協会)、第18回芸術祭奨励賞受賞
1970年度 芝祐靖作曲「横笛三章」(日本放送協会)、第25回芸術祭優秀賞受賞
1975年度 芝祐靖作曲「古代歌謡による『天地相聞』」(日本放送協会)、第30回芸術祭優秀賞受賞
1987年度 第38回芸術選奨文部大臣賞「古典芸術部門」受賞
1991年度 第12回松尾芸能賞(邦楽)優秀賞受賞
1993年度 第5回飛騨古川音楽大賞特別功労賞受賞
1997年度 第27回エクソンモービル音楽賞「邦楽部門」受賞
1999年度 紫綬褒章受章、第19回伝統文化ポーラ賞受賞
2001年度 第20回中島健蔵賞特別賞受賞
2002年度 第59回恩賜賞・日本藝術院賞受賞
2009年度 旭日中綬章受章

伶楽舎(れいがくしゃ) プロフィール
 雅楽の合奏研究を目的に1985年に発足した雅楽演奏グループ。音楽監督・芝祐靖。発足以来、現行の雅楽古典曲以外に、廃絶曲の復曲や正倉院楽器の復元演奏、現代作品の演奏にも積極的に取り組み、幅広い活動を展開。国内各地の他、アメリカ7市、ヨーロッパ20都市以上で演奏。古典曲や現代曲、正倉院復元楽器を使った復元曲のCD等も多数録音。特に、現代作曲家への委嘱作品や古典雅楽様式の新作の委嘱には力を入れ、年2のペースで開催している自主演奏会で度々初演〔「凛刻」(猿谷紀郎)、「夢幻の光」(西村朗)、「桜樹峨峨」(池辺晋一郎)他〕。また、武満徹「秋庭歌一具」の演奏に関しては定評があり、2002年2月中島健蔵音楽賞特別賞を受賞、自主録音したCD『秋庭歌一具』(ソニークラシカル)は平成14年度芸術祭レコード部門優秀賞受賞。他に、解説を交えた親しみやすいコンサートを企画し、雅楽への理解と普及にも努める。また、「子どものための優れた舞台芸術体験事業公演」(文化庁主催)他、小中高校生を対象としたワークショップ、レクチャーコンサートなども多く行っている。

伶楽舎ホームページ
http://www.reigakusha.com

クレジット

伶楽舎
(演奏者)歌:下野戸亜弓【しものと あゆみ】〔客演〕[3][9][10] 鞨皷:宮丸直子【みやまる なおこ】 太皷:三浦礼美【みうら れみ】 鉦皷:中村華子【なかむら はなこ】 琵琶:中村かほる【なかむら かほる】、笹本武志【ささもと たけし】 箏:野田美香【のだ みか】、平井裕子【ひらい ゆうこ】 笙:宮田まゆみ【みやた まゆみ】、東野珠実【とうの たまみ】、田島和枝【たじま かずえ】、福西賢【ふくにし けん】 篳篥:八百谷啓【やおたに さとる】、田渕勝彦【たぶち かつひこ】(元帝) [6]、田中康真【たなか やすまさ】(呼韓邪單于)[5] 龍笛:芝祐靖【しば すけやす】、八木千暁【やぎ ちあき】、角田眞美【つのだ まみ】(王昭君)[5][6]

収録情報

2011年2月2日 府中の森芸術劇場ウィーンホール

収録曲

1 - 11

古典雅楽様式による雅楽組曲 「呼韓邪單于」 —王昭君悲話— (1999)

こてんががくようしき・に・よる・ががくくみきょく「こかんやぜんう」 おうしょうくんひわ (1999)

1

壱越調々子

(02'55")

Ichikotsuchō no chōshi(“Prelude in the ichikotsu mode”)

いちこつちょうのちょうし

古典曲

2

前奏曲「仙境楽」

(05'29")

Overture:Senkyōraku(“Music of the celestial realm”)

ぜんそうきょく「せんきょうらく」

作曲:芝祐靖

3

第一曲「王昭君閑唱す」

(02'52")

No.1:Ō Shōkun kanshō su(“Wang Zhaojun sings calmly”)

だいいっきょく「おうしょうくんかんしょうす」

作詞:芝祐靖 / 作曲:芝祐靖

4

第二曲「呼韓邪單于の入朝」

(08'36")

No.2:Kokan’ya Zen’u no nyūchō(“Huhanye Chanyu pays homage at Emperor Yuan’s court”)

だいにきょく「こかんやぜんうのにゅうちょう」

作曲:芝祐靖

5

第三曲「王昭君と呼韓邪の邂逅」

(07'46")

No.3:Ō Shōkun to Kokan’ya Zen’u no meguriai(“Wang Zhaojun and Huhanye Chanyu meet”)

だいさんきょく「おうしょうくんとこかんやのめぐりあい」

作曲:芝祐靖

6

第四曲「元帝後悔す」

(03'49")

No.4:Gentei kōkai su(“Emperor Yuan regrets his decision”)

だいよんきょく「げんていこうかいす」

作曲:芝祐靖

7

第五曲「匈奴への旅」

(05'27")

No.5:Kyōdo e no tabi(“Journey to the Xiongnu regions”)

だいごきょく「きょうどへのたび」

作曲:芝祐靖

8

第六曲「異郷憂心」

(03'52")

No.6:Ikyō yūshin(“Wang Zhaojun’s distress in the far-off land”)

だいろっきょく「いきょうゆうしん」

作曲:芝祐靖

9

(第六曲)「王昭君絶唱」

(05'25")

(No.6):Ō Shōkun zesshō(“Wang Zhaojun’s final lament”)

(だいろっきょく)「おうしょうくんぜっしょう」

作詞:芝祐靖 / 作曲:芝祐靖

10

第七曲「王昭君仙境の霊唱」

(06'03")

No.7:Ō Shōkun senkyō no reishō(“Wang Zhaojun’s spirit sings in the celestial realm”)

だいななきょく「おうしょうくんせんきょうのれいしょう」

作詞:芝祐靖 / 作曲:芝祐靖

11

終曲「仙境楽」

(04'59")

Finale:Senkyōraku(“Music of the celestial realm”)

しゅうきょく「せんきょうらく」

作曲:芝祐靖

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