柴田南雄/合唱のためのシアター・ピース[SHM-CD増補解説版] (2枚組)

しばた・みなお/がっしょう・の・ため・の・しあたー・ぴーす

田中信昭指揮)/佐藤信演出)/東京混声合唱団

たなか・のぶあき、さとう・しん、とうきょうこんせいがっしょうだん

VZCC-91 〜 92 (SHM-CD) 3,500円+税

発売日: 2010年11月24日 / ジャンル: 合唱現代音楽


すべてのCDプレーヤーで再生可能な高音質CD SHM-CD(Super High Material CD)とは、通常のCDとは別種の、液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を採用。素材の透明性が格段に向上したことにより、マスタークオリティに限りなく近づいた高音質CDです。

※SHMは、ユニバーサルミュージック株式会社と日本ビクター株式会社の登録商標です。

▼曲目一覧 (試聴できます)

作品紹介

 第13回サントリー音楽賞受賞記念コンサート・ライヴ(1982年)。オーディオ愛好家も絶賛する名録音盤が待望のSHM-CDで登場。全92ページ増補解説版。

 柴田南雄の「合唱のためのシアター・ピース」は、前衛の技法を用いつつ、独自の方法論によって日本各地の民俗芸能、祭祀芸能を素材として導入した、日本の音楽史上でも極めて高く評価されている作品群であり、本CD盤に収録された四作品は、いずれもその代表作といえるものです。

 本アルバムは、「合唱のためのシアター・ピース」の成果を顕彰した1982年サントリー音楽賞の受賞記念コンサートの内、東京公演第一夜を全収録したものです。ちなみに東京公演の第二夜では『布瑠部由良由良』と『宇宙について』の二作が演奏されましたが、この日の記録はフォンテックから前者がCDで(『ふるべゆらゆら』 FOCD2531)、後者はDVDで(『柴田南雄とその時代 第一期』 FOCD9470/5)、それぞれ発売されています。

 1983年にLPで初発売された本盤は、当時のビクターによるデジタル録音技術の粋を集めた音がオーディオ誌で絶賛を博し、1996年のビクターによるCD化以降もオーディオ愛好家の間で高評価を集めていました。このたびは評判の高音質「SHM-CD盤」での再発となります。(SHM-CDはすべてのCDプレーヤーで再生可能です。)

 さらに今回の再発にあたっては、これらの作品群の音楽史的な意味を明確に示すため貴重な原稿群を数多く再録し、既発CDでは全16ページだったのを全92ページの「増補解説版」としています。併せて歌詞・詞章の原稿もできる限り見直しを行ないました。

 今年(2010年)の秋には岩波現代文庫の新刊として、柴田南雄の主著のひとつ『日本の音を聴く』が「文庫オリジナル版」として刊行されました。同書は、東西の音楽に対して該博な知識を有する柴田南雄による「日本の音」の考察を集めたものですが、同時に「合唱のためのシアター・ピース」を制作するに至る経緯と、各作品についての詳細な解説を含んだ大変貴重な文献です。

柴田南雄 著『日本の音を聴く――文庫オリジナル版』(岩波現代文庫・編集部からのメッセージ


 『追分節考』は合唱のためのシアター・ピースの第一作で、日本民謡の旋法と和声についての研究(後に音楽之友社から『音楽の骸骨のはなし―日本民謡と12音音楽の理論』として刊行、絶版)が適用されています。追分を歌いながら客席を歩く男声をはじめとして、女声による朗読や背景和声音、尺八など、さまざまな音素材が指揮者によって即興的に組み合わされて演奏される作品です。

 『北越戯譜』は新潟県の堀之内(旧・北魚沼郡、現・魚沼市)の盆踊り「大の阪(だいのさか)」と、同地方の童歌(わらべうた)を素材とした児童合唱曲です。複数のグループがまりつき、お手玉、羽子板による遊びを演じ、北国の風俗を舞台空間のなかで展開していきます。盆踊り「大の阪」では合唱団員たちは客席通路を歌い踊りながら進んでいきます。

 『萬歳流し』は秋田の横手萬歳を素材とした作品で、法政大学アリオンコールの委嘱によって作られました。男声2名ずつが太夫と才蔵のコンビを組んで客席内を門付けして歩きます。作曲者は、「『萬歳流し』を歌う学生諸君には、かつての東北農民がこうした芸能を身につけて出かせぎしなければ冬が越せなかった生活の厳しさを思いながらこの曲にとり組んで貰いたい、と話すことにしている。」と記しています。

 『念佛踊』の作曲者の解説には「シャーマニズムの昔から、また仏教の時代になってからも、乱世の前夜には自然発生的に民衆の集団舞踊がはじまる、という現象を合唱音楽として表現したいと考えた」とあります。第一部は日本書紀の原文が無調様式で歌われ、第二部では東京都各地の念佛が幾組にも分かれて会場全体で繰り広げられます。双盤の音を合図に第3部となり、静岡県浜松市周辺の遠州大念佛が歌い演じられる内に演奏会場が異世界へと変貌していきます。


<ライナーノーツ>(全92ページ)
武田明倫 「柴田南雄 合唱のためのシアター・ピース」
柴田南雄 「作品について」、「今日世界の音楽創造における東西の遭遇(抄)」、「浅間山」
安芸光男 「柴田南雄の位置――〈作品〉概念の転換へ向けて」
上浪渡 「柴田さん」
武田明倫、舩山隆、佐野光司:座談会・柴田南雄を語る
田中信昭 「柴田南雄のフィールドワーク」
佐藤信 「不思議なオジサン」
シアター・ピース作品表
全詞章掲載

柴田南雄 Minao Shibata
1916(大正5)年東京生まれ。東京帝国大学理学部植物学科、同文学部美学美術学科卒業。第二次大戦後、さまざまなジャンルで活発な作曲活動のかたわら、桐朋学園、お茶の水女子大学、東京芸術大学、放送大学、尚美音楽短期大学などで教鞭をとる。放送、新聞、音楽ジャーナリズムで、洋の東西を問わぬ洞察に満ち、知的刺激にあふれた旺盛な評論活動を展開。1992年、作曲、文筆の両活動により文化功労者に選ばれる。

1996年2月2日永眠。享年79歳。勲二等瑞宝章が遺贈された。

作品:「コンソート・オブ・オーケストラ」(尾高賞)、「追分節考」、「萬歳流し」、交響曲「ゆく河の流れは絶えずして」、「宇宙について」、「無限曠野」(遺作)他多数
著書:「印象派以後」、「西洋音楽の歴史」、「グスタフ・マーラー」、「日本の音を聴く」、「声のイメージ」、「音楽にしひがし」、「わが音楽、わが人生」など
受賞:1973年 第22回尾高賞、1982年 第13回サントリー音楽賞、紫綬褒章、1994年 第32回藤村記念歴程賞

柴田南雄 Official Website
http://www.eva.hi-ho.ne.jp/jshibata/

収録情報

1982年9月22日新宿文化センター サントリー音楽賞コンサート1982「柴田南雄の宇宙」(東京公演第一夜)

収録曲

Disc 1

1

追分節考

(13'43")

おいわけぶしこう

(no.41, 1973)

作詞:素材上原六四郎追分節) / 作曲:柴田南雄

東京混声合唱団 尺八関一郎 指揮田中信昭 演出佐藤信

2

北越戯譜

(18'39")

ほくえつぎふ

(no.49, 1975)

作詞:素材新潟県の盆踊り唄わらべ唄) / 作曲:柴田南雄

ひばり児童合唱団 指揮田中信昭 演出佐藤信

Disc 2

1

萬歳流し

(21'20")

まんざいながし

(no.45, 1975)

作詞:素材秋田横手の萬歳) / 作曲:柴田南雄

東京混声合唱団 指揮田中信昭 演出佐藤信

2

念佛踊

(28'47")

ねんぶつおどり

(no.50, 1976)

作詞:素材日本書紀東京・静岡の念佛) / 作曲:柴田南雄

東京混声合唱団 法政大学アリオンコール お茶の水女子大学合唱団 おたまじゃくしの会 合唱団「あらかわ」 日本石油合唱団 テノール・ソロ酒井義長 鯉沼廣行 打楽器佐藤迪定成庸二 指揮田中信昭 演出佐藤信

time:0.08 s


SHM-CDの特長/楽しみ方

● 素材の透明性そのままの、分離の良いクリアなサウンドをお楽しみいただけます。ガラスの曇りを拭き取ったかのような見通しの向上によって、今まで聴き逃していた音の存在に気づくこともあるかもしれません。

● オーディオで最も難しいといわれる低域の量感が引き出された、スケールの大きなサウンドをお楽しみいただけます。全体の音圧が増したように感じられることもありますが、マスター上でのレベル調整等は一切行っておりません。

● マスターに忠実な奥行きある音場の中に、フォーカスの引き締まった音が正確に定位する、粒立ちの良い立体感溢れるサウンドをお楽しみいただけます。スピーカーを通して聴けば、ライヴ会場やスタジオの雰囲気をそのまま持ち込んだような空気感、実在感を、より感じ取っていただけるはずです。

● まろやかでアナログライクなサウンドをお楽しみいただけます。大音量のリスニングにも聴き疲れすることがありませんので、近隣を困らせない範囲にヴォリュームを上げてお楽しみください。

※ 通常CDとの比較における音質変化の度合いは、再生環境によって異なります。

※SHMは、ユニバーサルミュージック株式会社と日本ビクター株式会社の登録商標です。