つたえ  遠藤千晶 箏リサイタル

つたえ えんどう・ちあき ことりさいたる

遠藤千晶

えんどう・ちあき

VZBG-44 (DVD) 3,666円(本体 3,333円)

発売日: 2012年4月25日 / ジャンル: 箏曲

その他のバージョン
CD VZCG-764  3,666円(本体 2,857円)  発売日:2012年4月25日


▼曲目一覧

作品紹介

鎮魂と讃歌。故郷・福島に寄せる再生への思い。
遠藤千晶、渾身の公演の記録をCDとDVDで同時発売!

 人気と実力を兼ね備え、箏曲界の将来を担う逸材として期待される注目の箏曲家・遠藤千晶。
 2011年10月29日、紀尾井ホールで開催されたリサイタル「傳―つたえ―」では、「伝え、つないでいくこと」、その大切さをテーマに、宮城道雄に師事した名手・矢﨑明子、日本ヴァイオリン界のカリスマ的存在・天満敦子、人間国宝・山本邦山を助演者として迎え、箏と尺八のための委嘱新作を初演という意欲的な内容によって広く絶賛を博しました。本DVDは、その成果を高品位の録音と画像で捉えた待望のライブ盤です。

 映像は左右斜めと正面の三方向のカメラによる収録で、時々手元をアップで捉える画像も見応えがあり、手先だけでなく、全身を使って弦を弾き、押さえる、しなやかで力強い箏の演奏技巧が非常によく分かります。

 『水の変態』は宮城道雄が14歳で作曲した処女作で技巧的な名品。左方に本手の遠藤千晶、右方に替手の矢﨑明子が位置し、「雨の手」における雫(しずく)の動きや「霰の手」での急速調の聴き所が、視覚面を伴うことで一段と迫真的な音楽体験をもたらします。
 『春の海』は、この曲を広めるきっかけとなった箏とヴァイオリンによるヴァージョンで、巨匠・天満敦子を招いての演奏。天満敦子のヴァイオリンは西洋楽器でありながら均等な拍節や均一な表情に留まらない、自在な間合いとニュアンスを駆使したものです。映像を通じて見ると両者の駆け引きが一層明瞭に感じられ、お互いに音楽をリードしながら、西洋音楽とは異質な新しい演奏様式を予感させています。
 助演者を迎えたもう一曲は、人間国宝・山本邦山の新作初演『一絃一管』。2010年春に遠藤千晶が委嘱し、2011年秋に完成した二章からなる作品です。作曲者によれば、「一章はタイトルの如く二重奏曲というより多少自由性に富み対話的である。また、二つの音の交錯ということを意識し、不協和音や半音階的上行、下行旋律を多用した」。そして二章は、「これまで書き綴ってきた伝統的な旋律、即ち陰旋音階によって書いた。よって随所に伝統的手法を盛り込んでいる。特に手事風、段物風な印象や、軽快なリズムを工夫しながら書き下ろした作品である。」


【CD 同時発売】
「傳-つたえ- 遠藤千晶 箏リサイタル」 CD:VZCG-764
DVDと同じ全5曲収録。

「傳 ―つたえ―」への想い


 前回のリサイタル「凛 ―soloist―」から2年。伝統音楽である箏曲界の末端に身を置く者として、つなぎ、伝える役割を意識しはじめました。
 私が直接聞くことができなかった先人達の音を、教えを、感じ、学びたい。そして、それをいずれは私たちが、次世代へ伝え、つないでいかなければならない。そのような想いから2012年のリサイタルのテーマを「傳 ―つたえ―」と定めました。
 第一部では宮城道雄作品を3曲、第二部では、いずれは「伝統」となっていくであろうものを今ここで生み出したいという想いで2曲を演奏しました。
 このリサイタルの半年前には、この美しい国に、私の愛するふるさと福島に、大変なことが起きました。心を痛め、たくさんの涙を流し過ごす日々の中で考えた「私にできること」。それは、私自身が大きな夢を持って前進することでした。
 あの日以来、ふるさとを離れて生活することを余儀なくされた方々も多数来場くださり、うれしい再会の場となったこのホールは、この夜あたたかさに満ちていました。
 今を生きる人として、演奏家として、これからも伝え、つなぐことの大切さを胸に、さらに精進していきたいと思います。

遠藤千晶

〈ライナーノーツ〉(24ページ)
「傳 ―つたえ―」への想い/遠藤千晶
リサイタル「傳 ―つたえ―」によせて/山本邦山、矢﨑明子、天満敦子
曲目解説/遠藤千晶
「一絃一管」曲目解説/山本邦山
演奏者プロフィール

遠藤千晶(えんどう ちあき)
福島県福島市出身。東京藝術大学大学院修了。3歳より母・遠藤祐子に箏の手ほどきを受ける。12歳より砂崎知子氏に師事。第21回宮城会主催全国箏曲コンクール演奏部門児童部第1位受賞。大学卒業時には、卒業生代表として皇居内桃華楽堂にて催された皇后陛下主催音楽会にて御前演奏。第41期NHK邦楽技能者育成会卒業演奏会においては、コンサートミストレスを務める。NHK邦楽オーディション合格。第8回長谷検校記念全国邦楽コンクールにおいて最優秀賞(全部門第1位)および文部科学大臣奨励賞を受賞。門下生による【CRYSTALLINE NOTES】を結成。現在までに全4回のコンサートを開く。べトナム・ハノイにて行われたASEM(アジア・欧州首脳会合)に先立つ参加各国文化祭に日本代表として出演。

2007年
 9月 福島市音楽堂大ホールにて「遠藤千晶箏リサイタル ―華―」開催。
 10月東京・紀尾井小ホールにて文化庁芸術祭参加公演「遠藤千晶箏リサイタル ―挑み―」を開催。その演奏に対して、第62回文化庁芸術祭新人賞を受賞。
2008年
 4月国立劇場主催公演「明日を担う新進の邦楽・舞踊公演」に出演。
 11月母との共催で、福島市音楽堂大ホールにて「妙祐会40周年記念箏曲演奏会」を開催。
2009年
 5月紀尾井ホールにて、フルオーケス卜ラを迎えて「遠藤千晶箏リサイタル ―凛― soloist―」を開催。第13回日本伝統文化振興財団賞を受賞。
 8月同財団よりDVD[第13回日本伝統文化振興財団賞 遠藤千晶]を発売。
2010年
 3月NHK東北ふるさと賞受賞。
 5月みんゆう県民大賞受賞。
 8月福島県しゃくなげ大使就任。

現在、国内外での演奏活動、テレビ・ラジオ等メディアヘの出演の一方で、東京、福島において後進の指導を行なっている。生田流箏曲宮城社大師範。宮城合奏団団員。日本三曲協会会員。森の会会員。箏ニューアンサンブル団員。妙祐会副会主。遠藤千晶とCRYSTALLINE NOTES主宰。

箏演奏家・遠藤千晶のブログ「クリスタル日記」
http://blog.livedoor.jp/crystal73/

収録情報

2011年10月29日紀尾井ホールにてライブ録音

収録時間:61分/片面・一層/STEREO/COLOR/16:9/LB/リージョン・ALL/NTSC/MPEG 2/ドルビーデジタル/オリジナル(日本語)/レンタル禁止

ご注意

このDVDのビデオフォーマットは日本、北米、カナダなどのNTSCビデオプレイヤー対応となります。ヨーロッパ、南米、中国のビデオプレイヤーはPAL 方式となりご覧頂けませんが、機種によってはNTSC方式でも視聴できます。パソコン内蔵のビデオプレイヤーならばすべて視聴可能です。リージョンコードはFREE(全世界対応版)です。

収録内容

1

中空砧

(10'21")

なかぞらぎぬた

作曲:宮城道雄

遠藤千晶

2

水の変態

(14'50")

みず・の・へんたい

高等小学読本より / 作曲:宮城道雄

歌・箏(本手)遠藤千晶 歌・箏(替手)矢﨑明子

3

春の海

(08'41")

はる・の・うみ

作曲:宮城道雄

遠藤千晶 ヴァイオリン天満敦子

4

讃歌

(10'32")

さんか

作曲:沢井忠夫

遠藤千晶

5

一絃一管〈Ⅰ〉〈Ⅱ〉

(15'12")

いちげんいっかん〈1〉〈2〉

作曲:山本邦山

遠藤千晶 尺八山本邦山

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